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会期:2018年5月11日(金) ‒ 5月24日(木)
■ Johanna Tagada(ジョアンナ・タガダ)
1990 年、フランス生まれ。
個展は「Épistolaire Imaginaire ‒Merci 」Galerie Jean-Francois Kaiser/ フランス・ストラスブール (2017年) 、「Épistolaire Imaginaire - Le Refuge」Egg / ロンドン(2016 年)など。グループ展は「Inaka no Hana 」Nidi Gallery /東京 (2017 年) 、「To Hide To Show 」Mama Gallery / ロサンゼルス (2015 年) などを開催。ディープエコロジー運動に合わせて、芸術、
出版、テキスタイルに焦点を当てた共同プロジェクト「Poetic Pastel」の創設者でもある。
「Penser, Manger, Partager」は、2016 年の作品「Le Refuge」に代表されるような、彼女ならではの工芸と彫刻を組み合わせた手法を用いています。「Le Refuge」(2016 年にロンドンのegg trading studio、2017 年にはストラスブールのGalerie Jean-Francois Kaiser で展示)はささやかな幸せの瞬間に捧げて制作された布の建築物です。タガダは最新のプロジェクトで食と消費文化に着目し、さらに幅広く生態系や環境問題に興味を向けるようになりました。2016 年より、彼女は不要な天然素材の布を提供するよう、人々に呼びかけました。そして、彼女や家族が日々消費した野菜や果物の皮や種子を用いた自然な方法で、それらの布を一年がかりで染め上げました。このこつこつと根気のいる作業によって、タガダはパッチワークによるテントを作り上げました。こうして、布をまとめ上げるという技術的な行為と、人々をひとつにするという行為との間に、繊細なメタファーが生まれました。天然資源の枯渇への警鐘である以上に、「Penser, Manger, Partager」はその詩的で親しみやすい建築物との触れ合いへと人々を誘う希望の場所なのです。
タガダの表現手法は、油彩画、天然染色、刺繍、コラージュまで幅広く及びます。その柔らかい色使いだけでなく、視覚、触覚、そして心を通して、私たちは彼女の作品だとすぐに気づくでしょう。今回の個展では、彼女を取り巻く様々な環境への備忘録と、色彩の研究のために制作中のシリーズ「Cocooning」から一連のコラージュ作品や、シリーズ「Deep Ecology」から選ばれた油彩画などを展示する予定です。タガダの植物画シリーズ第3 弾となる「Deep Ecology」では、哲学者アルネ・ネスの著作にある恒常性と調和した自然界を描いています。「Rose et Jaune (2015 ‒ 2016 年)」や「Anniversary (2016 ‒ 2017 年)」に見られるように、現実と想像上の植物相が、タガダが旅して撮影した35mm 写真と彼女自身の夢想によって描かれています。「14900: The world’ s current collection of nuclear weapons(14900: 世界の現在の核兵器コレクション)」で見られるように、それぞれの作品の題名には啓蒙的な意味が込められており、作品の柔らかさと現実の厳しさの間に存在する緊張感を生み出しています。タガダの作品は、柔らかく繊細な表現の中に環境保全へのメッセージを含ませることで知られています。
「Take Care ‒ きをつけて」̶これは提案なのでしょうか、それとも命令なのでしょうか。 タガダは私たちに解釈を委ねます。お互いを、世界を、家族を、社会を、自分自身を、そして海を…。
この個展を機会に、当ギャラリーにて「Penser, Manger, Partager」をテーマにした出版物を発売する予定です。発行はPoetic Pastel Press、編集はEleonore Grignon です。
筆者: Maggie Kuzan(英文) 日本語翻訳: nidi gallery