第7回 ノート展 キャラクター部門結果発表

第7回のキャラクター部門は、みんな大好き「くまモン」をつくり出し、キャラクタービジネスの仕組みごと変えてしまったクリエイティブディレクターの水野 学氏。かわいいだけでなく、配色とセンスの関係や伝わるデザインとは、などデザインを多角的に分析してきた氏の審査内容をお伝えする。受賞作はいかに?

【大賞】いっしん

*作品講評*
線が豊かな作品だと思いました。わびさびのある線がすごくうまい。猿か熊かもわからないモチーフがキャラクターの企画としても面白いし、とにかく人の頭の中に入り込んでくる「ヤツ」だなと。本誌はイラストレーターになりたいと夢見る人のための雑誌ですが、その夢を見せるような子どもの心を持ったキャラクターだと思います。ぜひまっすぐこのまま制作を続けてください。(水野)

【準大賞】TMZ

*作品講評*
このタッチでたくさん描いている方なんでしょうね。適度に遊びがあって非常にうまい。キャラクターがたくさん出るアニメやゲームのカードゲームにも合いそう。集めたくなる魅力を持った作品です。(水野)

【準大賞】衣笠らん子

*作品講評*
描けそうで描けない作品です。色選びがきれいだし、誌面を考えるとこれぐらい抜けたタッチのほうが和むのでは。 文字や文に乗算加工(透ける処理)で乗せても使えそうな主張しない感じが、とてもいいです。(水野)

【入選】うえまみのる

*作品講評*
本誌をよく考えてつくられていますね。受け手の頭を使わせるという点が優れていたので、今回は入賞としました。でも、そのわかりやすさは幅広い世代が見る、例えば地方自治体のキャラクターなどでは最も重要な要素です。ですから、場所が違えばグランプリも夢などではない作品だと思います。(水野)

【入選】横倉ゆうか

すごくかわいくて上手。僕は『センスは知識からはじまる』という本を書いていますが、そんな僕にも、この方は普段から色を意識しているな、と思わせる色選びのセンスを感じます。自分の好きな絵を描き続けている方だとも思いました。(水野)

【入選】にしまたひろし

*作品講評*
少ない要素で簡潔にシンボル化されている点に好感が持てます。まわりの黒い部分は毛なのかな?座敷童子がこんな感じのキャラクターならいいなあと思いました。ぜひかわいい妖怪をシリーズで描いてみてほしいです。(水野)

【入選】Rino

*作品講評*
完成度では上位に入る作品です。百獣の王ライオンのキングにかけて「めいキング」と名づけるなど、キャラクターの企画力も高い。すぐにプロとして活躍できる、またはされているレベルの方だと思いました。(水野)

【入選】Lacca

*作品講評*
すごく気になった作品です。いろんな動きもできそうだし誌面を彩ってくれそうだけど、アクが少し強すぎて悪目立ちしそうかなと。ただその強度を元に可能性を評価しました。誌面を紹介するという用途や雑誌の雰囲気などがっちり考えてつくられたらまた全然違うものができそう。上手な方なので今後も楽しみです。(水野)

【編集部賞】フキ ナカムラ

*作品講評*
思わず目があって選んでしまいました。非常に丁寧に描き込まれていて、キャラクター自体もかわいらしい。惜しくも入賞は逃しましたが、水野さんからもお墨付きをいただいた完成度の高い作品です。(三嶋)

●審査総評●

コンペの審査員を初めて15年ほど経ちますが、表現方法が当時からほとんど変わらないんですよね。3Dソフトや3Dプリンターなども出てきた訳ですし、そろそろ新たな手法が出てきてもいいんじゃないかなと思います。イラストレーターを取り巻く状況は厳しい部分もありますが、すばらしい仕事であることは変わりません。私もクリエイターの先輩として、クリエイティブの価値を高めるために努力していきます。みなさんもぜひ問題意識を忘れず、日々の制作に取り組んでください。

■審査員PROFILE

クリエイティブディレクター・クリエイティブコンサルタント
水野 学 氏

good design company 代表/1972年 東京生まれ。1996年 多摩美術大学グラフィックデザイン科卒業。1998年 good design company 設立。ゼロからのブランドづくりをはじめ、ロゴ制作、商品企画、パッケージデザイン、インテリアデザイン、コンサルティングまでをトータルに手掛ける。著作に『センスは知識からはじまる』『「売る」から「売れる」へ。水野学のブランディングデザイン講義』ほか。

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